
Gemini 3.6 Flashが登場。出力トークン料金が1M当たり9.00ドルから7.50ドルへ
Googleが2026年7月にGemini 3.6 Flashを発表し、出力トークンの料金を旧モデルの3.5 Flashから引き下げました。公式発表とAPI料金ページにもとづき、何が変わったのかを整理します。
Googleの開発者向けブログとGemini APIの公式ドキュメントにもとづいて、料金改定の中身と、
その背景にある業界の動きを整理します。確認日は2026年8月10日です。
そもそも「Flash」モデルとは何のためにあるのか
Gemini APIには複数の系統があり、その中で「Flash」は速度とコストを優先した系統です。
Googleの製品説明では、Flash系のモデルは「1日に何千回も呼び出される本番アプリケーション向けに
チューニングされた、低コストで高速な"workhorse"(主力)モデル」と位置づけられています。
精度で最上位を狙う「Pro」系とは役割が異なり、コストと速度が採用の決め手になりやすいモデルです。
だからこそ、Flash系の料金改定は開発者の運用コストに直結しやすく、追いかける価値があります。
さらにGoogleは、モデル全体のラインナップの中にも「Pro」「Flash」「Flash-Lite」という段階を
設けています。処理の複雑さに応じてモデルを使い分け、単純な問い合わせには最も安いモデルを、
複雑な推論には上位モデルを充てることでAPI利用料金全体を抑えられる、という設計です。
今回の発表では、この段階のうち中間層にあたる3.6 Flashと、最下層にあたる3.5 Flash-Liteが
同時に更新されています。
何が変わったのか — Gemini 3.5 Flashとの比較
公式の料金ページにもとづくと、前モデルの3.5 Flashと3.6 Flashの料金は次のとおりです。
| 項目 | Gemini 3.5 Flash | Gemini 3.6 Flash |
|---|---|---|
| 入力料金(100万トークンあたり) | 1.50ドル | 1.50ドル(変更なし) |
| 出力料金(100万トークンあたり) | 9.00ドル | 7.50ドル(約17%引き下げ) |
| コンテキストウィンドウ | 100万トークン | 100万トークン(変更なし) |
入力料金は据え置かれた一方、出力料金だけが引き下げられています。出力トークンは
生成AIのAPI利用料金の中でも比重が大きくなりやすい部分なので、長い回答やコード生成を
多用するアプリほど、この改定の恩恵を受けやすいと言えます。具体的には、出力トークンを
月間1,000万トークン消費するアプリの場合、3.5 Flashでは90ドルかかっていた出力分の費用が、
3.6 Flashでは75ドルに下がる計算になります(入力分の費用は別途、据え置きの料金で加算されます)。
同時発表された3.5 Flash-Liteと3.5 Flash Cyber
「3.5 Flash-Lite」は低レイテンシ・高スループット向けの最軽量モデル、
「3.5 Flash Cyber」は3.5 Flashをベースにサイバーセキュリティの脆弱性発見・修正に
ファインチューニングした特化モデルです。
3.5 Flash-Liteは、エージェント型の検索や大量の文書処理のように、精度よりも速度と
コストが優先される用途を想定したモデルとされています。3.5 Flash Cyberについては、
脆弱性発見という性質上「デュアルユース(善用にも悪用にもなりうる)」であることを
Google自身が発表文の中で認めており、提供の仕方に一定の制約を設けていると説明されています。
なお、両モデルの正確な料金は本記事執筆時点で複数の情報源の間で数値の食い違いが見られたため、
確認が取れる形での記載は見送ります。詳細は読者自身で公式の料金ページを確認してください。
トークン効率の数字はどこから来ているのか
発表では「出力トークンが17%減る」という数字がよく取り上げられていますが、これはGoogle自身が
算出したベンチマークではありません。
Artificial Analysis Indexが、複数ステップのタスクで3.5 Flashと3.6 Flashの
出力トークン数を比較して示したものです。Google公式の性能指標ではない点に注意してください。
別の第三者ベンチマーク(Datacurve社のDeepSWEコーディングベンチマーク)では、
条件によって出力トークンの削減幅が最大65%に達したという報告もあります。
出力料金の値下げ幅(9.00ドル→7.50ドルで約16.7%)と、この「17%」という効率化の数字は
近い値ですが、両者は算出の根拠が異なる別々の数字です。価格の引き下げ率と、
第三者が計測したトークン消費量の削減率がたまたま近いだけで、Googleが両者を
連動させて説明しているわけではありません。
実コスト」に移りつつあるのではないかと考えられます。根拠は、今回Googleの発表自体が
価格だけでなく出力トークン数の削減(=実質的なコスト効率)を前面に出している点、
かつそれを裏づけに独立系ベンチマークの数字を引用している点です。ただしこれは
今回の1件の発表から筆者が読み取った見方であり、他社が同じ方向に動くとは限りません。
精度を落としてトークン数だけ減らす調整をするモデルが増えれば、この指標自体が
あまり意味を持たなくなる可能性もあります。
開発者が確認しておくべきこと
既存のアプリで3.5 Flashを使っている場合、Gemini APIの仕組み上、リクエスト中のモデル名をgemini-3.6-flashに書き換えれば呼び出し先を切り替えられます。ただし出力の傾向が変わる
可能性があるため、料金だけでなく実際の出力内容も切り替え前後で比較しておくと安全です。
固定のモデル名ではなくエイリアスを使っている場合、意図せず新モデルに切り替わっていることが
あるため、料金や挙動が変わったと感じたら、まず実際に呼び出しているモデル名を確認するとよいでしょう。
Googleは3.6 Flashを3.5 Flashの後継として明示的に「廃止予定」と発表しているわけではありません。
そのため、3.5 Flashが今後いつまで提供されるかは、本記事執筆時点の公式情報からは
確認できませんでした(未確認)。継続利用を前提にしている場合は、今後の公式アナウンスを
定期的に確認することを推奨します。
出典
- Introducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyber - Google Blog
- Gemini Developer API pricing - Google AI for Developers
- Gemini 3.6 Flash - Google AI for Developers
- Gemini 3.5 Flash - Google AI for Developers
- Using the latest Gemini models - Google AI for Developers
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